FIT(固定価格買取制度)が当初目的としていた再生可能エネルギーの導入拡大は成果を挙げたといって良いだろうが、その副産物として、特に太陽光発電事業者の認定が昨年度末に殺到し、九州電力を初めとする電力会社の大半がその系統接続を保留した。この問題が、出力抑制をやりやすくするという安易な方法で一応の解決を見たが、一方的に事業者に責任を押しつけ、その犠牲で受け入れ再開を電力会社にさせるよう経産省は指導したと言えるだろう。当面の対応としては仕方がないとしても、これによって実施されるFIT精度の見直しが、太陽光だけでなく風力発電の導入拡大を大きく阻害する方向に向かうのではないかと心配だ。報道資料では原稿の出力抑制ルール下での電力7社の太陽光発電の受け入れ可能量は、▽北海道=117万キロワット(131万キロワット)▽東北=552万キロワット(591万キロワット)▽北陸=70万キロワット(102万キロワット)▽中国=558万キロワット(622万キロワット)▽四国=219万キロワット(260万キロワット)▽九州=817万キロワット(913万キロワット)▽沖縄=35万6千キロワット(51万キロワット)という数字が発表されている。(カッコ内は最も効果がある出力抑制策を取った場合の受け入れ可能量)。現在の制度では、電力会社単位での受け入れしか考えられていないのだが、これを電力会社間で変動抑制のための電力融通ルールを作れば、また違った姿が生まれるはずだ。それが来年度に示されるはずの送電網全国一元管理制御システムの完成まで見えないのは極めて残念だ。