効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大阪市による鉄道送電線利用の送電実験

電力輸送について大阪市が興味ある実験を始めた。市営鉄道の送電線設備を使って電力を送る実証実験を11月から始めるらしい。これまでであれば、電力を少し距離のある所に送ろうとすれば、電力会社の送電網を利用せざるを得なかった。それを、電力会社の送配電網を介さず、自家発電設備と周辺施設を結び、電力を供給する。実用化すれば、再生可能エネルギーなど特定の電源で発電した電力のみが購入できるなど、新しい電力サービスが普及する可能性もあると報じられている。実験は大阪市立大学が協力し、咲洲地区(大阪市)を走る市営ニュートラム新交通システム)のコスモスクエア駅トレードセンター前駅の間で行う。既存の鉄道用送電線を使うのは法律上難しいため、実験用の送電線を線路上に整備するということだが、この法的な規制を変更するくらいの結果を出してほしいものだ。10〜50キロワット級の小型自家発電機と、離れた場所にある駅舎を電線でつなぎ、ポンプなどを動かす。送る電気には特殊な信号を発信するよう工夫し、発電時の電気がそのまま駅舎まで流れていることを確認するということだが、既に流れている電力に上乗せして発電された電力は他へも流れるが、どれだけの量をどこの駅に送ったかを信号で示すことによって、その分だけが消費できるように制御するのだろう。将来は鉄道の軌道上にある電線を使った沿線への送電に乗り出すことも検討するということだが、送電線の送電容量にどれだけ余裕があるかに支配されるだろう。最初直流を送るのかと思ったが、どうも交流の可能性もある。だとすると、多様な使い方ができるだろう。電力会社に託送料を払うことなく自前の電線で送電できれば、コストも下がるはずだ。自著の「スマートグリッドの基本と仕組み」(秀和システム)でも、このような方式に似た構想を述べているが、これほど早く実施されるとは思わなかった。