効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

オーストラリアの石炭

石炭火力はCO2排出量が多く、地球温暖化推進要素の中心となる。米国では事実上石炭を発電に使用するのを禁止する規制が環境省から出された。しかし、世界的には燃料単価としてはもっとも安い石炭の消費が急増しようとしている。昨日書いたインドでもそうだし、日本の新設火力設備に石炭を利用するものが圧倒的に多い。ドイツを中心とする欧州でも同じ傾向だ。その石炭を世界でも多く資源として保有するのはオーストラリアで、主として中国、インド、日本、韓国などアジアへの輸出が増え始めている。一時環境問題から石炭採掘が進まなくなった時期があったが、採掘輸出事業の規模も大きく拡大し始めている。最近ではインドとの合弁会社が東部のクイーンズランドで大規模な採掘を開始し、その輸送のためのインフラも拡充されつつある。輸出港も大きく能力を上げる必要があり、航路浚渫も進められている。石炭の利用促進自体、地球の気候変動についてリスクを高めることだが、それに止まらず,浚渫などによってオーストラリアの大珊瑚礁(Great Barrier Reef)が壊滅する可能性が指摘され、ユネスコはこの世界遺産が消滅の危機に瀕しているとする報告を出そうとしているくらいだ。だが、オーストラリア経済を支えるのは当面石炭産業だとする姿勢は現政権では強く、石炭輸出はさらに増えそうだ。目前の経済成長と長期的な気候変動と、どちらを重視するかが問われているのだと思う。