効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

英国の洋上風力発電

英国の洋上風力発電が、1年間で80%増加したそうだ。数字で見ると、2012年7月から2013年6月までの間で、洋上発電設備容量は1,858 MW(185万8千キロワット)から3,321 MWになったが、これは、4つの巨大なウインドファームが稼動を始めたからである。その内には、London Arrayの630 MWという世界最大規模のものもある。これで洋上風力の年間設置規模が陸上風力を初めて上回ったことになった。陸上風力はこの1年間で1,258 MWの設置だという。その陸上風力も、その1年で25%増加し、その全体規模は6,389 MWである。陸上と洋上を合わせると、この1年間で6,856 MW から40%増えて9,710 MWになったわけだ。陸上風力の増加は鈍っているが、フィードインタリフとの関係で5 MW規模までのものに力点が置かれ、また、設置に向いた場所が少なくなっているからだそうだ。いずれにしろ、現在建設や計画が進行中の風力発電設備も多く、今後も増加スピードが大きく鈍ることはなさそうだ。政府の支援策に影響を受ける側面はあることも確かだが。
これに関して、英国のエネルギー大臣は、ある会合で英国は2030年までに39 GW(3,900万キロワット)を建設する計画を促進すると述べたと言うから、これからも英国の風力発電規模は拡大を続けるだろう。最近今後の政府の支援がどうなるかが議論され始めたのを打ち消そうとしたもののようだ。
これだけの急増をして英国の送電系統は受け入れることができるのだろうか。英国は全土が一つのグリッド(系統網)でまとまっているのではあるが、不規則な変動が系統に与える影響が大きいことに変わりはないのだから、何らかの対応策を送電系統管理者側でとらなければ,送配電の不安定性が増すことになる。変動抑制のために電気温水器なども動員して需要を制御して変動を抑制しようとしているが、簡単に実現できるものではないだろう。しかし、風力を増やすという方針に変更がなければ、系統側が対応せざるをえないことから、いろいろな対応策が生まれるだろう。風力が余ればその電気で水から水素を作り、足りない時には水素で発電する設備の開発も具体化しているし、もう少し長期的にはノルウェーと海底電線を結んで、同国の水力発電をバッファーにしようという計画も進展している。
洋上風力について日本は福島沖の浮体式のものも含めて実証段階にあるが、今回の電気事業法の改正で系統制御の全国一元化ができれば、英国の動向が参考になるに違いない。洋上風力について米国を見ると、まだ着手が始まったばかりで、英国からは大きく遅れているようだ。
参考までに日本の数字を見ると、2012 年度末に風力発電の総設備容量264万kW(2,640 MW)、総設置基数1,913基となっている。