効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

欧州の風力発電

ヨーロッパ風力エネルギー協会(EWEA)がつい最近発表したところによれば、2010年に欧州で設置された洋上風力発電設備は、設備規模で見て前年比51%増という記録的なものとなっている。同年には洋上風力発電が308基、容量で883MW(88万3千キロワット)設置され、累計では2,964MW(296万4千キロワット)という、驚くべき数字だ。風車の基数でいえば、欧州には1,100基以上が稼働中。中でも英国が全体で1,341MWで先頭を走り、それに続くのがデンマークの654MW。オランダ、ベルギー、スウェーデンがそれぞれ249MW, 195MW, 164MW。 ドイツは92MW,アイルランドが25MW,フィンランドが26MW、ノルウェーが2.3MW。洋上風力向けの新規モデルが29も21のメーカーから出されているそうだ。EWEAは、今後も増加のテンポは落ちないと予測していて、今年には系統に1GW〜1.5GW(100〜150万キロワット)が接続されるとする。
別のソースからのレポートでは、これまで衰えることなく成長してきた欧州の風力産業が、現在の経済状況からくる影響を受けて、経営に陰りが出ているようだ。最大の風力発電機メーカーであるオランダのVestasが、最近工場の人員3000人を削減したという。これには、中国などのメーカーとの価格競争に押されている側面もある。というのは、風力発電設備の増加傾向は変わらないが、アジアで生産された設備に輸送コストを加えても、その方が安い現実がでているからだ。また、欧州においての経済活動が低迷したために、資金調達が順調にいかない側面と、当面の炭酸ガス排出量削減の緊急性が下がっているためでもある。しかし、中長期的に見れば、EU炭酸ガス排出量をさらに引き下げ、エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を上げようとする方針は強化の方向に向かっているから、市場としては拡大を続けるだろう。そこへ多くのメーカーが参入したために、これまで絶対的優位性を持っていたトップメーカーが足をすくわれたというところだろう。この市場に日本の存在感はほとんどない。