効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ゼロ原発

小泉元首相が、12日午後、日本記者クラブで会見し、「原発ゼロ」を改めて提唱したと報じられた。この発言の影響力は大きいだろう。安倍首相がすぐに「はいそうですね」という筈もないが、これからのエネルギー長期政策策定の行方を決定づけるものになる可能性がある。
原発が再稼働すれば、あまり表だって言われることのない、出力を変動させにくいという特性によって、風力発電はますます系統に入れにくくなる。夜間に風がよく吹くと、それに対応して出力を絞る火力発電所の比率が大きく落ちるからだ。特に北海道電力管内でそうだ。太陽光発電の場合には、昼しか発電しないから、天候予測さえしっかりしていれば変動への対応はやりやすい。
この小泉元首相の発言に、安倍首相は、「日本は島国だ。ドイツは(原発を)やめても、原発政策を維持するフランスから電気を買うことができる。日本はそれができない。」と述べたそうだが、これは電力会社の主張に沿ったものだ。原発比率の高いフランスは、ドイツを含めた周辺の国の柔軟な発電出力変動能力を利用して、安全な稼動に支障が出ないようにすることで原発を維持できている、ということも追加して説明する必要がある。
この議論は、送電系統の運用を独立させ、全国ベースで発電所を管理できる方向に向けることができれば、発電所の組み合わせを柔軟に行えるようになり、原発を再稼働させるとしてもミニマムの数にすることができるはずだ。短期的には化石燃料の消費が増えて国際収支が悪化し、二酸化炭素の排出が増えるのは避けられないが、高効率の天然ガス火力を急いで建設することでかなりカバーできるはずだ。産業界も、建前は別にして、自己防衛的な電力確保に動いているのだし。