水素を液化するには極低温にしなければならない。また、鋼材を損傷する脆性破壊を促進するから、貯蔵にも高い技術が必要。それに川崎重工が挑戦すると発表した。液化した水素を運ぶ船舶を世界で初めてつくり、2017年にもオーストラリアから輸入し始める。政府も安全基準をつくり後押しするが、水素の価格は国内品よりも最大で5割安くなるという。川重はまず600億円を投じ、豪州南部のビクトリア州から17年に輸入で実証実験を始める。1回で2500立方メートルの水素を運べる小型船を2隻つくる。年間輸送量は計2700トンで、燃料電池車の3万5000台分にあたるということだ。これが順調に進めば、世界的に見ても注目すべき事業となって、地球温暖化防止にも貢献するプロジェクトとなるだろう。トヨタやホンダが燃料電池自動車を2015年から市場に出すとしているのを加速する一つの要素となるかもしれない。
この間書いた千代田化工建設の水素輸送に液体水素化合物を使うプロジェクトも事業化されると報じられている。燃料電池車に1日当たり4万台分に充填する量を供給でき、燃料コストを3割下げられて、ガソリン価格並みになるというが、こうなると充填所建設コストを引き下げて場所の数を増やすことが必要となる。何か新しい事業計画は出ないものか。