効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

燃料電池船

燃料電池が船の推進力を作るという記事を見て、そこまで来たかという感じがした。戸田建設ヤマハ発動機が動力に水素を使う燃料電池船を開発する。今夏に漁船やクルーザー用の小型船(10トン級)をつくり、長崎県で試験運航を始めるということだ。この2社に加えて、岩谷産業低公害車開発ベンチャーのフラットフィールド(神奈川県厚木市)が開発する。ヤマハが船体を提供し、フラットフィールドが燃料電池部材の開発や調達を担う。岩谷から水素の取り扱いなど技術支援を受けながら、戸田建設が開発全体を管理し、環境省の支援も受ける。船舶からの二酸化炭素排出量はトータルで見ると大きいために、その排出削減は世界的な目標になっているが、燃料電池の応用が今年に実試験船が動くところまで来ているとは知らなかった。この記事ではどのようなタイプの燃料電池を使うかなどの情報は出されていない。燃料電池自動車の2倍程度となる約160ノルマル立方メートル(セ氏零度、1気圧での体積)の水素を積み、約80キロメートル運航できる仕様となっている。現時点の製造コストは1億円を超え、重油で動く同規模の小型船舶に比べ3倍以上になるという。だが、この実験が成功裏に行われれば、実用化は意外に早いかも知れない。海沿いに設置した風力・太陽光発電から水素をつくり、船舶燃料に使う仕組みを構築できれば、日本の沿岸地域の地域振興にもつながるとみているらしいが、それに到るには時間が必要だろう。とはいえ、洋上も含めて風力発電の導入量が増えれば、水素製造によって出力変動を吸収するプロジェクトも具体的に進められるだろうから、漁船に応用するのは理屈に適ってはいる。燃料電池でなくとも、水素エンジンが開発されることも考えられる。肝心なのは水素の製造と輸送、貯蔵だろう。