効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電線の地中化

国土交通省は2020年開催の東京五輪までに、東京都内の空港や駅周辺など人が多く集まる地域の電柱をなくす検討に入ったという。電線を地中化し、渋谷や港など19区で国道や都道の「無電柱化率」を今の80%から100%に引き上げる。おそらくオリンピックが東京で開催されることが決まったことから出てきた計画だろうが、既に空中に設置されている送電線を地中埋設するのは、都市の美観が良くなるとはいえ、コストが発生するだけで、送配電の合理化にはほとんどつながらない。訪日客が多く集まる羽田空港ターミナル駅周辺で優先的に進める方針だというが、それで日本を訪れる観光客が増えるだろうか。地中に埋設すれば、障害が起きた時に場所を特定するのに時間がかかるし、修理にも掘削が必要なことも増えてしまう。洪水の時には障害の原因が増える可能性もある。もし共同溝にするとすれば、既に埋設されている水道、ガス、通信設備との折り合いもとらなければならない。雇用は一時的に増えるかもしれないが、無駄なお金を使うだけになるのではないか。そのコストは誰が負担するのか。地中化の費用は1キロメートルあたり約6億円。国と東京都のほか、NTTや東京電力など民間企業の3者が約2億円ずつ負担するが、単純計算で重点区域の総事業費は780億円規模になると報じられている。どこも金に余裕がない時に、電力供給機能の改善には不要のものを作る必要はないだろう。国民負担が増えるだけだ。