効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

レドックスフロー蓄電池

北海道電力再生可能エネルギーの導入拡大に向け、寿命が長く安全性も高い新型の大容量蓄電池であるレドックスフロー蓄電池を導入すると報じられたのを見て最初驚いた。住友電気工業が開発していたのだが、一時開発を諦めたと聞いていたからだ。記事によると2015年にも電力網につないで稼働させる。太陽光発電などを大量導入すると電力網の電圧などが不安定になるのを蓄電池の充放電で防ぐ。電力会社が大容量蓄電池を本格導入する初の事例になり、再生エネ普及の弾みになりそうだ。
昨年まで客員教授として奉職していた関西学院大学の三田キャンパスに、住友電工関西電力の両社が協力してレドックスフロー蓄電池をテストしていたのを見せて貰ったことがある。1985年から共同開発していたもので500kWx10時間規模のものだった。2001年に設置されており、常温常圧で作動し、バナジウム電荷の差を燃料電池に使うような電解質膜を介してやりとりすることで蓄電放電を行う。この膜の寿命と、バナジウムのコストが高いという問題を解決できなかったので、商品化を一時諦めていたはずだ。それが日本の送電網に変動する自然エネルギーの出力を多く取り入れるために実用化されるのは嬉しいことだ。同じような目的でNaS電池があるが、高温で作動することからくる安全性の問題がないとはいえない。北海道電は新型蓄電池レドックスフロー蓄電池を基幹変電所に設置する計画で、電気をためられる能力は6万キロワット時(一般家庭6千世帯の1日分の消費電力に相当)で世界最大級となる。導入費用は200億円規模という。
待機損失がなく、起動が速いし、設置面積は大きいが発火の怖れも殆どないのが自分には好ましいものだったが、これが日本で利用されることになったのは嬉しいことだ。