効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

DESERTEC

再生可能エネルギー導入について、欧州へアフリカ北部の砂漠地帯で太陽エネルギーによる発電(太陽光発電、太陽熱発電)からの電力を地中海海底経由で直流送電する構想が数年前から検討されていた。当初単なる構想で終わりそうだったが、EU再生可能エネルギー導入目標が高く設定されていることから次第に実計画扱いされるようになっていた。しかし、電気新聞の報道では、シェールガスの登場によってまた元の夢構想に逆戻りしそうだ。このプロジェクトの財団と、ソフトバンク孫社長が中心で設立された日本の自然エネルギー財団とはアジアでも同様な構想を実現させようと覚え書きを取り交わしているが、同じような壁にぶつかるのかもしれない。
電気新聞の記事では、北サハラ地域の太陽エネルギーを欧州で利用する「デザーテック」構想が頓挫する危機にひんしているとのこと。欧州のニュースサイト、ユーラクティブがこのほど報じた。それによると、「欧州の系統は既に再生可能エネルギーの受け入れに大きな課題を抱えている」「建設費用が巨額である」「計画があまりに『夢想的』である」ことから、計画を縮小する方針だ。 同事業を具体的に推進するため、2009年にABB、エーオン、RWEなどドイツ企業によって設立された「デザーテック・インダストリアル・イニシアチブ(DII)」の最高経営責任者がこうした方針を認めたという。 DIIは当初、4千億ユーロ(約52兆円)を投じ、1億キロワットの発電設備と直流高圧送電線を設置し、50年までに欧州の電力需要の約15%と、北アフリカ諸国の需要の大部分を賄う構想を描いていた。しかし、昨年にシーメンスは実現性を疑問視し、DIIから出資を引き揚げていた。 北米発のシェール革命が急速に進展し、世界のエネルギーコスト構造に大きな変化を与えていることも影響しているようだ。ただ、欧州ではシェールガスの開発のテンポは北米ほどではないため、これからDESERTECがどの方向に向かうかは見守る必要がある。