効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

低コストの火力発電

X日鉱日石エネルギーは石油精製の副産物を燃料に使う新方式の火力発電所を建設する方針を固めたと報じられている。新しく導入される燃料は、石油精製過程でガソリンや軽油などを取り出した後に残る粘度の高いタール状の液体を利用する。固形燃料にし、それを燃やしてつくった蒸気でタービンを回すのだが、これまでは、化学メーカーに極めて安い価格で引き取って貰っていたのが、固形燃料をつくる過程で燃料油も搾り取れるので、石油精製全体で収益性を高められる利点もある。火力発電用燃料に使用することで収益性も高くなるのだろう。そして、調達費がかからない自前の残留物を使うことで発電コストを抑制できる。
JXエネの新型発電所は主力拠点の鹿島製油所茨城県神栖市)内に建設される。発電能力は10万キロワット。2016年3月をめどに稼働させる。投資額は石炭火力発電所建設とほぼ同等の百数十億円程度になるもようだ。このような形の新しい火力発電設備がこれから幾つも出てくるのではないだろうか。それも、当面は電力会社に販売するのではなく新電力事業として特定の顧客向けに供給するだろう。これから実現するであろう発送電分離に向けた動きの一つとも考えられる。JXエネが持つ発電能力は、これが加わることで約7%増の150万キロワットになる。他の業界からもいろいろな形の火力発電設備の新増設が予想される。