効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ロシアからの電力輸入

ロシアで発電した電力を北海道を経由して日本に供給しようというプロジェクトがあるということは聞いていたが、ロシア政府はサハリンの発電所から北海道まで海底ケーブルを敷設し、送電規模を2025年までに原発4基分の発電量にあたる最大400万キロワットに拡大するとの概要をまとめ、30日までに日本政府に伝えたという。これまで日本は消費するエネルギーを全て化石燃料のまま、それも殆ど生の形のものを世界から輸入して加工し、利用してきた。そこでは加工されたエネルギーの最たるものである電力が入るなど考えもしてこなかった。しかし、電力の輸入輸出をしている国は世界には多いし、勿論政治的な問題がからむこともあるが、意図的な政治的理由で送電が止められたケースも聞かない。そうしようとする駆け引きがあったかもしれないが。
いまロシアからは天然ガスLNGの形で輸入されている。日本人はロシアを信頼度の低い国だと見る傾向があるが、英国人の友人で天然ガス市場の専門家がよく言っていたのは、日露不可侵協定を第二次世界大戦の終わりの時に一方的に破られて酷い目に遭った記憶が長く残りすぎているのではないかということだ。ロシアとヨーロッパはガスと石油の輸出入で緊密な関係がある。政治的な駆け引きに利用されようとすることもあるが、ロシアはビジネスとしての約束を破ったことはほとんどないと彼は言う。どれほど正しいかどうか分からないが、今後のロシアとのビジネスの中に電力輸入が始まるのは受け入れるべきことかもしれない。自分が書いた本にもこのことは触れているが、書いた時点では具体化する時期を示した訳ではないが、必然性は高いと考えていた。
今の日本のエネルギー需給の逼迫に乗じた計画だと考えるのではなく、もっと長いスパンの視点で検討すべきことだろう。サハリン南端から北海道の稚内までの約40キロ間に電力損失の少ない高電圧直流送電ケーブルを敷設してサハリンの発電所から50万〜60万キロワットを日本に送電するというのが最初の計画だが、どのようにこの計画が進展するか注目したい。