効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

工業プロセスへの太陽熱利用

東芝が太陽熱で水を加熱し、火力発電所発電効率を高める装置の受注活動を2015年をめどに始めると今日新聞に報じられている。火力発電といっても水を加熱して高圧蒸気にして蒸気タービンを回して発電する方式への応用だが、発電した後蒸気は冷やされて水として回収され再利用される。その時に強い太陽熱が常時入手できるところであれば、このシステムは有効に機能するはずだ。太陽熱を鏡で集光して蒸気にして発電する方式はすでに砂漠地帯などに多く設置されている。だが太陽熱をプロセスの一部に使うのは多分投資額も大きくならず有効だろう。出力100万キロワットの火力発電所に設置した場合、エネルギー利用効率の向上で出力を3万キロワット程度上積みできる見込みだという。装置の価格は発電所の規模によって異なるが、1台数十億円というから、発電設備全体の投資額に比較すると小さいのではないか。既存のものにも追加できるらしいから極めて有望なものとなるかもしれない。残念ながら日照時間の短い日本では効果を発揮することはできない。東芝はまずインドやオーストラリアなど太陽熱のエネルギーを豊富に利用できる海外市場の開拓を進めるというのはよく理解できる。中国の北部にある砂漠地帯近辺にある石炭火力発電に応用すれば、発電効率が上がる分だけ発電量当たりの大気汚染物質を削減することもできるから、この当たりからも引き合いが来るのではないか。
この太陽熱利用は、エイモリー・ロビンスの新著「新しい火の創造」(拙訳、ダイヤモンド社)に述べられている工業プロセスへの太陽熱利用に相当するのだろう。