読売新聞が報じるところでは、「政府の地震調査委員会が進める全国の活断層の再評価で、第1弾となる九州地域の原案が判明し、マグニチュード(M)7以上の大地震を起こす可能性がある活断層が従来の8か所から倍増することがわかった。同委員会は順次、各地域の再評価結果を公表するが、大地震の警戒対象は大幅に増える見通しだ。第2弾は関東地域の予定。」ということだ。政府が大地震を警戒すべき活断層を決め、それぞれの地震規模や発生確率などを評価する取り組みは、1995年の阪神大震災をきっかけに始まったことも初めて知ったが、倍増には驚くと同時に恐怖すら感じた。地震帯の上に乗っかっている日本列島に50基を超える原子力発電所があること自体、世界的に見れば極めて異常なのだが、いま殆ど停止している原発の再稼働にも密接な関連がある活断層の評価がこれほど大きく変わるとは。
これまでに行われてきた活断層のレベル判定は、原発を建設できるようなデータを出すという暗黙の了解の下で行われてきたような気がする。しかし、全原発を全て停める期間を長くすることが日本の経済に大きな影響を与えることも確かだ。使用済み核燃料処理や、高レベル放射性廃棄物の処理方式が定まっていないのだから、脱原発の方向に向かうことを前提にしながら、一応の安全性が確認されたものは再稼働させざるを得ないとは思う。それには活断層のレベル判定が鍵となる。原発の安全性確認作業ができるのはこの夏頃以降になるらしいから、電力供給の不安定性はこれから少なくとも2年は続くと考えていた。しかし、今回の活断層の評価替えから見るともっと長期になる可能性がある。日本のエネルギー政策は、リスクとのバランスをとりながらどのようなものを打ち出すだろうか。