効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

水素製造

広島大学の宮岡裕樹特任講師らは、セ氏400度以下の比較的低い温度で水から水素をつくり出す実験に成功した。アルカリ金属を用いた熱化学反応を使う。既存技術のセ氏800〜1500度よりは温度が低く、太陽熱や工場の廃熱でも水素が取り出せるという。」と報じられている。今回使われたアルカリ金属はナトリウムで、どこにでもある素材だ。ナトリウムは溶ける温度がセ氏98度と低く、蒸発と冷却をうまく制御すれば反応が進むという。400度以下という温度は、未利用の廃熱もあるし、大型のレンズを使う太陽熱集熱装置を使えばそれほど実現が難しいことではないはず。これまで水を太陽や風で作った電力で電気分解するのが出力変動の抑制とエネルギー貯蔵の方式としてよく紹介されてきた。しかし、電気分解の時に損失する電力がネットで調べた情報に拠れば73%だというから、その水素を使ってまた発電するときの損失を考えると現実解にはなりにくい。しかし、今回発表されたのは熱化学反応だから損失ははるかに低いはず。
この水素で燃料電池か内燃エンジンの燃料に使えば、特に燃料電池の場合に7〜80%程度の高い発電効率が得られる。まだ実験室段階だから実用化には時間が必要だが、注目に値する研究だと思う。