効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電線

日本電線工業会が工場やビルの電気を供給する電線について、新技術ではないが、新しい発想、電線の太さによるエネルギー効率の向上に取り組み始めている。電線は導体断面積を大きくすると抵抗が小さくなり、通電時の損失を抑えられる。直径を2倍にすれば断面積は4倍になるから太くする効果は大きい。しかし、これまでにある電線の設置規準は、安全の観点から作られていて、電気が流れる効率を上げるということはほとんど考慮されていなかったと聞く。同工業会が作った「環境配慮電流表」によれば、導体断面積を現行の2倍程度にすることによって、工場やビル内の通電ロスが現在の約4%からほぼ半分の約2%に低減できるようだ。太径化による初期投資の増分は、損失減によるランニングコスト削減により10年以内で回収が可能。
仮にすべてのビルや工場に適用した場合、100万キロワット発電所3〜4基分に相当する、年間200億キロワット時の省電力効果が得られるということだから、小さいものの積み上げ効果が大きくなる典型事例だろう。既築の建物の配線を入れ替えるのは難しい。そこで提案されているのが、既設のケーブルに並行して同じケーブルをもう一本追加するダブル配線。これでも導体の面積は2倍になるし、コストは新規引き直しより小さくなる。この提案は広く採用されても良いと思う。政府の主導施策になってもおかしくない。実証データを広く広報して、実施に結びつけてほしいものだ。