効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

高温超伝導が身近に

九州電力九州大学国際超電導産業技術研究センターなどは19日、次世代の主流と目される超電導変圧器の中核技術を実証したと発表したと。世界初のイットリウム(Y)系超電導線材を用いた超電導変圧器を開発したもので、Y系超電導電力技術開発として進めている国家プロジェクトの一環。配電用変圧器として用いる2万KVA変圧器の技術検証が可能な最小容量モデル、400KVA型機を開発したとあるから、超伝導というと大型の設備だと思いこんでいたのが間違いだった。配電網の最末端にある変圧器への応用となる。九州電力九州大学国際超電導産業技術研究センターフジクラ、昭和電線ケーブルシステムの5者のほか中部電力古河電気工業住友電気工業など多くの企業、大学が関与しており、変圧器のほか線材や大電流ケーブル、高圧ケーブル、SMES(超電導エネルギー貯蔵)などを開発中。12年度末までに基本技術を確立、実証試験を経て20年ごろの実用化を目指す。落雷などの事故発生時に瞬時に電気を止めて電気機器への悪影響を抑える「限流機能」と呼ぶ技術で、超電導変圧器の実用化に大きく近づくとしている。東京電力が来年11月から実験を始める超電導ケーブルに続き、送配電網への超電導技術の導入が加速しそうだという。
Y系の超電導変圧器は2万KVA配電用変圧器で試算すると、従来の油入式などに比べ、重量は2分の1、体積が約3分の2と小型化。電力損失も従来式比では約6分の1に低減される。課題となるコストについては、20年ごろの普及段階で油入式と比べ約1.3倍程度と試算されているが、実際は小型化のメリットや高効率化などによるコスト低減効果や線材価格の影響などを加味する必要があるという。変圧器は長期間使用されるものだから、小型で軽量になれば設置コストも下がる。損失が減れば長期のコストダウンを大きいだろう。高温超伝導といってもマイナス197℃に維持するのに液体窒素を使って冷やす。液化窒素そのものは工業的に大量生産されているからコストは下がっている。その低温を維持するのに電力を消費するが、そこでのエネルギー消費をどの程度引き下げるかは課題だろう。変圧器単位だから小型、ということは表面積の比率が大きいために熱損失も大きくならざるを得ないはず。電線自体の超伝導化は電線の構造が簡単だからやりやすいだろうが、変圧器となると部品の数も多いから開発要素も増えるだろうと思う。このようなニュースを見る毎に、夢の技術の実現する期間がどんどん短くなっていると感じるこの頃だ。