効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

核燃料再処理からの撤退

今日の毎日新聞朝刊の一面トップに、核燃料再処理02年「撤退」、国と東電極秘協議、という記事が大きく出ました。東京電力経済産業省双方の首脳が、2002年に青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理事業からの撤退について極秘で協議していたことが関係者の証言などで分かった、という内容で、もう一つ家でとっている日経新聞には出ていませんでしたから、毎日新聞の特ダネでしょう。
六ヶ所村再処理工場の建設費は、事業申請時(89年)には7,600億円であったものが、いろいろなトラブルが発生してまだ稼動はしておらず、コストは2兆円を超えることが確実になっていた、と報じています。トラブル続発でまだ稼動させることができないということは知っていましたし、本格稼動を始めるとプラントが強い放射能を帯びるため、将来の解体費用としてさらに1兆円必要になるという数字は、これまでも様々にいわれていたものです。この記事はおそらく事実に近い内容をもっているように思います。
これまで、私も建設を中止すべきだと思っていました。この設備は、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出して、再度核燃料に使おうとするものです。現在はフランスや英国で再処理をして貰っていますが、肝心のプルトニウムを使うことを想定している高速増殖炉もんじゅ」がこれもトラブルで停まったままですし、ウラン燃料にプルトニウムを混ぜて現在稼働中の原子炉で使おうという計画も、僅かしか進展していませんので、いまの原発の稼動に関する状況からすると、難しさは増大するでしょう。六ヶ所村再処理工場が安定して稼動しなければ、日本の原子力発電所から出てくる使用済み核燃料の行き場がなくなります。再処理をせずにそのまま地下に埋めるようにする計画も、その場所が決まっていません。今は原子力発電所に保管されているのですが、そのスペースが無くなりつつあると聞きます。この記事が今後どのように扱われるかは分かりませんが、新規原発の建設はおろか、日本の原発を長期的に稼動させるということも極めて難しくなったなと思っています。