効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■米国の核廃棄物処理

米国で昨年11月以前に、冷戦時代に核弾頭を製造したときにできたプルトニウムを、保管してあったサウス・カロライナ州の拠点から、ネバダ州へ密かに移動させたということだ。最近連邦政府がこの情報を開示したという。ネバダ州の裁判所は、エネルギー省が計画していると発表していた膨大な量のプルトニウムネバダ州への移動に反対するネバダ州当局の意向を聞こうとしている。このプルトニウムは、サバンナ・リバーサイドにある最古の原子炉から運び出され、ネバダ州の原子炉安全拠点にある部品組立工場に送られたものだ。この場所は、ラスベガスから112キロメートルの所にある。

人口が少ないネバダ州は、長らく原子力廃棄物の埋設場所として構想されてきた。ネバダ州からの連邦議員は今回の移送に強く反発している。おそらく訴訟が起こされるだろう。これまで、オバマ前大統領が閉鎖を決断したネバダ州のユッカマウンテン原発からの核廃棄物をどこに埋設するかが問題となっていただけに、大きな紛争になる可能性がある。

国家原子力安全担当当局は、この輸送計画はセキュリティの観点から極秘に行われ、輸送ルートなども公開されなかったとしている。サバンナ・リバーサイドの原子炉は、1950年代に建設され、原爆製造に必要な素材、トリチウムプルトニウム239を作り出してきた。トランプ政権は、この39トンものプルトニウム原子力発電燃料の原料に転換する計画を昨年10月に停止させている。それを使える原子炉が米国には建設されていないからだ。そして、トランプ政権も、オバマ政権の頃と同じく、ニューメキシコ州にこのプルトニウムを地下埋設することを構想しているという。

この報道で分かることは、地震が殆どない所も多い米国でも、核廃棄物処理に明確な答えを出していないということだ。