発電効率が高い溶融炭酸塩電解質の燃料電池メーカーである米国のFuel Cell Energy社からの情報ですが、同社は韓国に世界で最大規模の11.2メガワットシステムの稼動を開始したということです。ここには2.8メガワットのユニットが4基設置され、燃料電池パークと呼んでいます。ここで発電された電力は系統に販売され、排熱は隣接する浄水場に供給されます。いずれも長期契約です。韓国ではPOSCO Powerがパートナーで、韓国が本拠の投資・エネルギーコンサルタント会社Cobalt Powerに販売・設置をしたとのことです。投資をして事業として成り立つということでしょう。設置面積はほぼ1エーカーで、同規模の太陽光発電所が55エーカーであるに比べて土地利用効率が高いと力説しています。
このニュースレリースを見て改めて心配に思うのは、日本でこの規模の電力事業用燃料電池が、どのタイプのものでもまだ実用化していないということです。三菱重工が固体酸化物電解質燃料電池(SOFC)で電力事業用規模のものを開発中ですが、まだ商品化には至っていないと理解しています。溶融炭酸塩型はこのFuel Cell Energy社が世界で唯一のメーカーです。日本でも幾つか輸入されていましたが、以前にも書いたことがあるように、日本代理店であったある商社がギブアップしました。日本での稼動に信頼性などいろいろ問題があったそうです。これからの日本では効率の高い分散型電源が多く設置されることが期待されていますが、燃料電池についてはまだ家庭用の1キロワット級(固体高分子型と固体酸化物燃料電池)のものしか商品化されていません。数十キロワットレベル以上の燃料電池が早く商品化されることを期待しているのですが。