効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

石炭火力発電への燃料電池応用

経済産業省中国電力やJパワーと共同で、世界最高レベルの発電効率55%以上をもつ新型の石炭火力発電設備の開発に乗り出す計画です。通常の石炭火力発電は他の燃料を使うものに比べて発電効率が低いために、発電量あたりのCO2排出量も多くなります。しかし、化石燃料としての埋蔵量は多いので、これから石炭火力に頼らざるを得ません。そこで、他より低い発電効率を上げてやることができれば、地球温暖化対応にも有効ということになります。その石炭火力の効率上昇に燃料電池を使うのは世界的に見てもまだ実用化されていません。たしか三菱重工天然ガスを燃料にする固体酸化物電解質燃料電池SOFC)を組み込んだものを200キロワット規模でプラント実証をしていて、今度開発が計画されているものとシステムとしては共通部分があります。関西電力SOFCシステムの開発をしていますが、中国電力やJパワーは燃料電池そのものの開発をしているわけではありませんから、あるいは三菱重工のシステムを利用するのかもしれません。
2020年から国内実証を行うということですから、かなり先の話のようですが、予定通りの開発に成功してほしいものです。開発するのは「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」で、まず石炭を蒸し焼きにしてガスを発生させ、ガスから取りだした水素を使い燃料電池で発電するとのこと。さらに発生したガスでガスタービンを回すとともに、タービンの熱で生じた蒸気で蒸気タービンを回す3段階の発電方式だと報じられています。発電出力は17万キロワット級ですから、現在の開発規模から見るとかなりのジャンプをしなければなりません。ただ燃料電池は発電用のセルの数を調整して規模を変えるのが比較的やりやすいですから、この開発計画で実用レベルに達すれば、世界にも貢献することができるのは確かです。