効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

温泉熱で発電

地熱発電が最近注目を浴びています。しかし、温泉地に代表されるような火山活動があるところで地下に深い穴を掘って、高温の溜まっている地層をヒットしなくてはなりませんから、一度で成功するとは限らず、当初の掘削コストは大きいのです。可能性のあるところは国立公園であるところが多いのですが、最近国立公園の外からまず縦に穴を掘り、途中から横向き(多分斜め)に掘削してマグマ溜まりに突き当てようという方式が認められるようになったのですが、リスクも高いでしょうし、コストも高くなります。この方式で発電するためには、少なくとも数百度の熱源があって、高温蒸気が得られるものでなければなりません。また、この蒸気を外部に放出すると環境問題が出てくる可能性が高いので、熱交換機で熱回収して高温蒸気を発生させるのですから、このシステムからの発電は再生可能エネルギーを対象にした固定価格買取制度でも、かなり高い価格設定をしなくては、事業として成立しないのではないかと感じています。また、温泉地に近いのが通常ですから、温泉源が枯れると困るという反対もでてきます。
これに代わる温泉熱利用による発電が大分県で普及し始めているということを11月11日のデイリー・ヨミウリで知りました。読売新聞にも出ているかもしれません。この方式については以前8月12日に触れたことがありますが、それが温泉地にも受け入れられて普及し始めそうだと知って愉快です。別府とか湯布院町での実例が紹介されています。
いま大分県には先に述べた方式がメインの地熱発電所があって、合計出力は155,000キロワットだということです。同県の電力需要の10%を賄えるというのも始めて知りました。全国平均では2009年度末で僅か0.26%ですから、大分は突出していると言えます。そこに設置されようとしている神戸製鋼が開発した小型の発電機は、既存の温泉の高温水の温度を利用して発電でき、70キロワット出力のものが2,500万円と報じられています。湯布院町にあるホテルが幾つかこの設置を計画しているというのです。大分県の補助を受けて実証試験を来年早々から行うそうです。この発電からの電力が新しい法律で、キロワット時あたり20円で買い取りして貰えるとすれば、当初設備投資は4年で回収できると報じられています。このような具体的な数字で投資回収年数を出せるのは、既に高温泉源があるところに設置するので、リスクが小さいからでしょう。70キロワットの出力規模はホテルなどに向いていて、湧き出る温泉の熱源が豊富であれば、複数基を設置できます。まさに電力の地産地消です。今後の動向を注目しようと思います。