効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

スマートメーターの仕様

総務省は24日、次世代送電網(スマートグリッド)の実現に向け、家庭などの消費電力を無線通信で常時把握するために使う次世代電力計(スマートメーター)の専用周波数帯を決定した。日本企業の国際競争力を高めるため、欧米と同じ915〜928メガヘルツ帯を割り当てる。今秋をメドに関係省令などの制度を整備し、2012年7月から利用可能になる見通し。
この報道を見て本当に驚いた。ここ2年ほど、スマートグリッドが各方面で論じられ、日本の電力会社も消極的ながらスマートメーターの取付をしようという方向に向かっていたから、双方向通信というスマートメーターの基本仕様はすでに決まっているものだと思い込んでいたからだ。日本の場合、各電力会社がそれぞれ独自に仕様を決めているとは聞いていたのだが、通信に使う周波数まで決まっていなかった、ということは、電力会社が使える周波数を勝手に設定して使っていたということだ。すでにユーザーのところに設置されているものもあるから、通信も行われている。そのデータの内容は使いやすいものを個々に設計するのはあり得るが、通信周波数まで定まっていなかったとは。電力会社はこれまで、まさにお付き合いだけでスマートメーターの取付を進めてきたことがこれで明白になった。
スマートメーターが使える周波数が最終的に使えるようになるのが来年ということは、既にこれまで取り付けられてきたいわゆるスマートメーターは、その通信部分を取り替えるか再調整しなければならないということになる。無駄なお金をこれまでに使っているということだ。このような遅れが放置されてしまった原因はどこにあるのだろうか。政府も電力会社も、最先端のICT(情報通信)技術を使って送配電を制御するのがスマートグリッドであり、その中核がスマートメーターだというお題目を何度も聞かされていた。しかし、政府も電力会社も、本気でスマートグリッドを日本に導入しようとは思ってはおらず、お経だけを唱えていたのだということだ。いま直面している電力不足に対応するにもスマートメーターの普及が喫緊の課題であるのに、来年まではスタートが切れないというのはなんと情けないことだろうか。