これからの電力供給は需給管理、あるいは、スマートグリッドの制御などの要の一つとなるものにスマートメーターがある。従来の電力メーターは月一回の検針時に1か月の電力消費量が分かり、月単位の料金計算だけに利用されていた。だが、これをデジタル化し、30分毎といった短時間間隔で消費量を測定し、それを、送配電を管理するところに情報として送ることによって、リアルタイムに近い精度で測定した消費の動きを把握することができる。送配電を管理する側から見ると、多くのスマートメーターのデータを見ると、需要予測を精度高く行えるために、需要を抑える必要があるときには、スマートメーターに信号を送り、それを消費者に知らせることによって、使用中の電気機器のスイッチを切ってもらうなどが出来るようになる。
電力供給制御のデジタル化の要になるものとして、旧電力会社はスマートメーターの取付に力を入れてきた。欧米ではスマートメーター取付への反対もあって訴訟まで起きたのだが、電力供給事業者と消費者の関係が良好な日本では、大きな反対はなく順調に取付が進んでいる。旧東京電力では2020年度を目標にすべての利用者を対象に約2,900万台を設置する計画で進めていた。だが、最近、2016年9月から一年間に、内部が燃える火災が16件発生していることが分かり問題となっている。東京消防庁の資料によると、少なくとも10件は17年1~7月に都内で発生しているという新聞報道がある。
東電管内の送配電を担うパワーグリッド社などによると、スマートメーターの製造元は複数あるが、今回判明した16件はすべて、東光東芝メーターシステムズが製造したものだ。同社が15年4~11月に製造したスマートメーターのコンデンサー部品に不良があり、想定以上の電流が流れたために抵抗部と基板の一部が焼損したとみている。いずれも建物への燃え移りはなかったというが、僥倖だったとしか言えないものだろう。東電は今年3月にこのメーターが不良品だったと認め、取り換え作業を始めた。現在約4割の9,600台が終わり、19年3月末を目標にすべて完了させる予定だという。しかし、製品不良の情報が対象者に伝えられていないのは今後問題になる可能性はある。消費者が警戒心を持たないように留意した対応と取り換えが必要だろう。スマートグリッドの展開に支障とならないように。これは日本全体を対象に精査する必要があるかもしれない。