効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

周波数変換設備の増強

電気新聞の報じるところによると、「東京電力中部電力中部電力の東清水周波数変換設備(FC)を増設し、電力融通能力を18年頃に60万キロワットに増強する計画を前倒しする検討に入った。東日本大震災後の電力不足を踏まえ、中部電力は一部運用中の東清水FCの電力融通能力を現在の10万キロワットから30万キロワットに増やし、本格運用を始める時期を従来の14年12月から来年秋に前倒しすることを表明している。50ヘルツ地域への電力融通能力をさらに拡大する観点から、60万キロワットへの倍増時期も前倒して検討することが必要と判断した。」とある。
西日本から関東に電力支援するために節電しようという呼びかけまであったように、一般には東日本と西日本で供給されている電気の周波数が違っていることを知っている人は少ない。これまで電力会社がそれぞれ独自に自分のエリアの供給安定性に責任をもつという方針が続けられてきた。新潟地震柏崎刈羽原発が止まったときにも、あやうく東電は大停電を起こしかけたにもかかわらず、日本全体でお互いに助け合うという方向には動かなかった。そのためには、周波数の差を乗り越える周波数変換設備の容量を現在の100万キロワットから数倍に増やさなくてはならない。そのコストを心配したとよく言われるが、そうではなく、電力市場が自由化の方向に進むのを恐れたからに違いない。西日本の独立発電事業者が、東日本の企業に電力を売ることがしやすくなるからだ。今回の記事の内容では、東清水周波数変換設備を60万キロワットにするのが非常に大きいような印象を与えるが、実際には現在他の設備も合わせて合計100万のものが150万になるにすぎない。今の東電が抱える問題の解決にはほど遠い数字だ。それでもその方向に動き始めたことは歓迎する。日本全体を電力が無理なく行き来するようにしなければ、供給の安全保障は無理だからだ。