効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

業務用固体酸化物電解質燃料電池

NTT、住友精密、東邦ガスの3社が共同で、5kW規模の業務用固体酸化物電解質燃料電池SOFC)を開発した。いま家庭用の700ワット規模SOFCの実証試験が行われていて、2007年度から2010年度までの計画が今年の3月で終了する。自分の家に稼働しているものもその一つで、実証試験としては一応終わるが、稼動している限りはずっと運転を続けるようだ。2008年に設置された36基のうち17基がまだ稼動していて、2年以上動いているものもある。業務用はまだこのような実証試験は行われていないが、今回発表された5kWのものにもNEDOから開発に対する補助金が出ている。それ以外に、変電所レベルに設置するものも開発が進んでいる。
今回の震災で絶対的な発電能力の不足を補う役割を果たせるまでの実用化が進んでいないのは残念だが、今後の役割が期待されるものだ。SOFC発電効率が40%を越える。そうなると一般的な火力発電所発電効率と同じ、ないしは高くなるから、発生する熱を回収しなくても十分通常の火力発電に対抗できる効率を発揮してくれる。送電ロスも出ない分散型発電機だから、これが耐久性とコストの問題を解決して商品として登場する日が早くくることを期待している。大型発電所のように建設期間が長くないし、自動運転するから運転要員も不要。天然ガスやLPG、灯油を燃料とするから、燃料供給の安定性は念頭に置く必要はあるが、故障しても、大型発電所のように大規模な能力ダウンを招くこともない。小規模なものが多数分散しているので、それが一斉にダウンすることは余程のことが起こらない限りないからだ。しかも、燃料電池は発電レベルを制御できるから、太陽光発電風力発電の出力変動を抑制するような運転をさせることができる。将来の課題ではあるが、多数の小規模安定電源と多数の不安定電源を組み合わせて、お互いに補い合って系統を安定化させる制御方式を開発しなければならないだろう。もう少しすれば、大型発電所ではなく、需要のあるところで稼動する小型の発電設備が大きな役割を果たす時代になると思う。