効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

固体酸化物電解質燃料電池

新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)は、「固体酸化物形燃料電池SOFC)を用いた業務用システムの実用化技術実証」の委託先について、富士電機日立造船に決定したと発表した。業務用規模では、三菱日立パワーステムズが加圧タイプの200キロワット規模のものを開発し現在実証運転をしている。これまでもSOFC開発の動きに注目してきたのだが、富士電機が開発していたとは知らなかった。セル部分を同社が担当するが、常圧方式円筒型のようなので取扱は簡単かも知れない。数〜数100kWの中容量SOFCシステムの実負荷条件下での実証試験等の研究開発を実施するらしい。SOFCの業務用規模のものはこれまで国内に商品化されたものはなく、家庭用のエネファームがあるだけで、セルは京セラが製造しアイシンが全体を組み上げている。出力は700ワットだが、この発電規模は排熱回収をして効率を上げる目的で、日本の家庭での給湯需要との関係で決まったのだろう。いま三浦工業や京セラが数キロワット規模のものを商品化しようとしているが、それに富士電機が加わったことになる。他には、米国から輸入されたブルーム・エナジー社のものをソフトバンクが導入し、幾つかの場所に設置しているが、米国内では既に可成りの規模で稼動している。100キロワットを単位規模とし、それを幾つか並列につないで必要な規模にしている。普通排熱回収はしないのだが、発電効率が50〜60%なので、排熱回収にコストをかけるのを避けたのだろう。さらにこれは、設備を売るのではなく、発電された電気を販売するというビジネスモデルになっているため、ユーザーは設置場所を提供するだけになるようだ。日本でもこの方式で販売設置している。この販売電気料金から見ると、日本のSOFCが競争力を発揮するにはコストがまだ高いかも知れない。だが、ブルーム・エナジーも米国政府の補助金で開発を進めてきたから、どちらが安いと必ずしも決めることは難しい。とはいえ、日本で商品化されている家庭用のSOFCであるエネファームーSの価格はまだかなり高いから一層のコストダウン努力が必要だ。今回の富士電機の実証試験で、コストについても新しい知見が得られるかも知れない。楽しみではある。