東北電力も原子力発電所を持っている。幸いなことに、稼働中だった女川1〜3号機は地震発生後自動停止して冷却も順調に進んで安全な状態にある。火力発電所も多くが停止したが次々に運転を再開している。地熱発電があるのも殆どが運転を再開している。水力発電所には設備被害がいくつか起きている様子だ。これはすぐに修復するのが難しいかもしれない。
被害が大きいのは変電所や変圧器の損傷のようだ。そこへ電気を送る送電線も86線路が被害を受けたが、半分以上が復旧している。東京電力の福島原子力は東北電力の管内にあるから、東北電力の設備が被害を受けて、福島原発への電力供給が止まったことも今回の難しい状況を生み出した一つの原因になるかもしれない。
東北電力管内でまだ停電しているところは多いはず。そのため電力需要は地震前まで回復していないという状況にある。それが幸いしてと言うと叱られるかもしれないが、東北電力は17日、東京電力に50万キロワットの電力を融通している。東北電力と東京電力の間には大きな容量の連系線があるから、これからも東京電力管内の状況に応じてこれ以上の融通が行われる可能性もある。北海道電力も北本連系線を通じて最大で60万キロワット融通されていると報じられているが、これはこの連系線の最大容量だからこれ以上は望めない。周波数の異なる地域からはつつ一杯の100万キロワットが融通されている。東北電力管内に計画停電を実施することによって、その分を東京電力に送るというケースも今後考えられないでもないと思っている。なにしろ日本の中枢地域の電力不足を何とか補わなければならないのだから、日本全体に与えるマイナスの影響をできるだけ少なくするために、東北電力管内への電力供給を多少犠牲にすることも検討されなければならないだろう。