効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

公共通信メディアを使った情報伝達

東北地震が起きて以来、テレビで流される緊急情報が貴重な存在となっている。しかし、テレビでは見ているときにしか情報の伝達は行われない。その欠点を補完するシステムがあることを、今回の福岡スマートハウスセミナーで知ることができた。
いま福岡ユビキタス特区で行われているマルチメディア放送実証試験の概要説明があり、その後実機のデモによる説明も受けることができた。これは、既存のデジタル放送網と通信網の上に、IP(インターネット・プロトコル)データをカプセル化して乗せる(IPDC: IP Data Cast)ことによって、家庭などに設置された受信機に送るもの。その受信機にはディスプレイがあって、好みの情報を選択して映し出すことができる。受信機は既存の電波に新たに乗せられる情報カプセルを解読する機能があり、将来はテレビや携帯電話などに組み込むこともできる。今回東京電力管内での計画停電情報が効率的に伝達されなかったという批判が出ているが、このシステムが普及すれば停電などに限らず、一般市民への情報を一斉に伝達することができる。また送り先を地域別に分けて送ることもできるから、不必要な地区の情報を受けないようにすることもできる。このような緊急情報の受信ということになれば、どの建物にも取付を義務づけるところにまで行かなければならないかもしれない。
これを実際に行うとすれば、放送法など通信関連の規制を変えなければならないそうだ。いまその法案が準備されているが、地震原発関連の異常事態によって法改正ができない可能性もある。しかし、緊急事態が起きて情報伝達が必要なときに極めて有力な方法で、しかも既存の通信インフラをそのまま使えるという大きな利点があるのだから、法改正されることを願っている。緊急情報だけでなく、広告メディアとしても新しい手法を生み出すものとなるだろう。広い地域であったり限定した地域であったり、配布先を特定したチラシ広告を送ることもできるだろう。思いがけない情報伝達のアイデアも生まれるに違いない。