効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

発電能力を増強するには

東京電力は自然の力に屈服させられたといえる。想定外だったというのはその通りだ。学者でも今回の規模のような地震津波が起きるとは考えていなかっただろうし、たとえそういう学説があったとしても、それに対応できる原発設備を建てることは、設備コストの高騰から排除されただろう。いままで原発で発電される電気の単価が一番安いといわれてきたが、そこには原発に関わるコストが隠されていて、設備コストとして算入されていなかったからだと考える。友人のエイモリー・ロビンスもそう主張している。
それはそれとして、東京電力保有する原発1,700万キロワットが完全に使えなくなった。これは常に100%稼動になるように運転されてきたから、需要対応力もこれだけ失ったわけだ。これからは、水力、火力(石炭、石油、天然ガス)の発電で対応しなければならない。この中には地震で停まっているものもあるようだが、故障部分さえ修理できればすぐに復帰できる。東京電力の資料によれば、水力が揚水発電も含めて約900万キロワット。火力発電はLNG火力が主体で約3,800万キロワット。合わせて4,700万キロワット。定期点検を受けているものもあるから、稼動できるのは4,000万キロワット超だろうか。これ以外に、日本電源開発からのものやPOSの設備もある。それに対する需要のピークを調べると、平成21年7月30日に5,450万キロワットとなっていて、経済低迷から低めになっている。これまでの最大ピーク需要は平成13年の6,430万キロワット。これから見て、需要家に節電の工夫をしてもらっても需要に対応できる設備がないことは明らかだ。需要変動に備えて、ある程度余裕をもっていなければ、突然需要が増えると大停電になることも現実問題として想定できる。計画停電は少なくともここ数ヶ月継続されるだろう。
東電は自前の設備では当面対応できないから、早期に新規能力を増やすには、何らかの方法で太陽光発電とガス・LPGによるコージェネレーション(熱電併給)設備を需要家に設置して貰う方策を考えるべきだと思う。このようなものの内小規模な設備は商品在庫としてあるものだから、需要家が納得さえすれば1ヶ月以内に稼動を開始させることも不可能ではない。一つ一つは数キロワットから数百キロワットと小さいが、それが集まれば、数万キロワットにも短期間でなりうる。これまで原則拒否してきたコージェネレーションからの逆潮を認めれば、もっと有効に機能するだろう。森ビルが大規模コージェネからの電力を東電に売ると報じられているが、これを小規模なものにも認めることが必要だ。今日はこれくらいで。