効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大阪ガスの興味ある試み

今朝東京へ向かう前に、日経新聞を見ていたら、当面自分が興味を持っているスマートグリッドと極めて関係があることを大阪ガスが始めるという記事を見つけた。この記事は近畿版だから、他の地域の日経には出ていないかもしれない。
それは、「大阪ガスは3月末にも、関西の企業や大学などが持つ太陽光発電コージェネレーション(熱電併給)システムを広域で活用し、エネルギー消費を抑える実証実験を始める。サントリー酒類NTT西日本近畿大学などが府県を越えて電力を融通し合う。3年程度かけ、太陽光発電などで不安定化しやすいエネルギー供給を、広域で制御する技術を確立する。」というものだ。太陽光発電は太陽の当たり方で発電量が変化するのは当然のことだ。晴れているときに雲が大きくかかって陰になると、出力が下がる。その時には別の施設の発電機が発電量を増やして補う。発電機がフル稼動していないことが条件になる。逆にかんかん照りであれば、他のコージェネレーション燃料電池もこれに含まれる)が出力を落とす、ということは燃料消費を削減できることになる。この方式はこれまで同じ施設内で行われている事例はあるが、府県をまたがって行うのは初めてだし、世界的にも初めてかもしれない。この場合、実証試験を越えて実用化させようとすれば、それに参加するメリットがエネルギーコスト、あるいは炭酸ガス排出量の低減など見える形で得られるようにする料金体系のようなものを設定しなければならない。大阪ガスは熱の融通も実証するそうだが、熱の遠方輸送は難しいので、おそらく相殺方式をとるのだろう。
これに対して関西電力はどういう姿勢をとるだろうか。供給区域内でこれが行われれば、電力の販売量は落ちるのだが、負荷変動が安定化するというメリットが生まれる。本来ならこれに参加する事業者グループに、変動抑制料金を払っても良いくらいのものとなるかもしれない。太陽光発電の変動対応は電力事業にとっても長期的な課題だ。一緒に実証試験をやっても良いだろうが、いま犬猿の仲となっている電力事業とガス事業のことだから無理ではあろう。太陽だけでなく風力も考えられれば良いのだが、残念ながら関西電力の領域には風が吹くところは少ない。ただ、少ない風力発電でも、この方式でその変動を抑制する試みをする意味は大きいと思う。これからどういう結果が出るか楽しみだ。