効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイナリー発電

低炭素社会の実現には、電力を消費する機器や送配電系統の効率を上げることも重要だが、無駄に捨てられている熱を有効に利用することができれば、全体のエネルギー効率は大きく上がる。高い温度の熱の回収は、たとえば溶鉱炉の炉頂から出る排ガスを利用して発電するなど、いろいろ工夫がされている。しかし、温度が下がるほど、その利用は温水への利用しかなくなり、温水の需要がなければ、捨てなければならなかった。
温泉の泉源温度が高くて、100〜200度ある場合、温泉として利用するには、水を混ぜると温泉の価値が落ちるために、熱を下げるために湯もみをしたりして温度を下げている。しかし、この温度で気化する物質を使えば、気化して高圧になったものでタービンを回して発電できる。これをバイナリー発電、あるいはオーガニックランキンサイクル発電という。
経済産業省原子力安全・保安院は温泉水や蒸気を熱源としてタービンを回し、発電する「バイナリー発電」の規制緩和方針を固めた。出力300キロワット未満の小出力で媒体に不活性ガスを用いるなど一定の条件を満たす場合は、電気事業法に基づくボイラー・タービン主任技術者(BT主任技術者)の選任や工事計画の届け出などを不要とする。電事法で2次系を「液化ガス設備」と位置づけ離隔距離規制を設けている点についても、一部を規制対象から外す。現行の電気事業法では出力にかかわらず「火力発電所」との位置づけでボイラータービン主任技術者の選任や工事計画届け出が求められている。
バイナリー発電にこのような厳しい規制があるとは知らなかった。ただ、燃料電池の開発途上では、これも火力発電所に適用される規制がかけられたために、離隔距離を大きくとる必要があったりして、燃料電池向けに規制を緩和して貰わなくては実用化できなかったことは知っていたから、この規制緩和の重要性はよく分かる。ただ、低温で気化沸騰する熱媒体には、たとえばアンモニアのような、漏れたら有毒の物もあるから、全面規制緩和とは行かないことも分かる。ただ、不必要に厳しい規制を外してやれば、高温の温泉水だけでなく、いろいろな熱利用機器からの排熱を使って発電できる分野が大きく増えるはず。まだ効率化の余地は幾つもあるはずだ。