オーガニック・ランキンサイクル発電とも呼ばれる比較的温度の低い熱から発電できるシステムだが、日本でメーカーの数が増えてきている。欧州ではすでに市場が確立しているようだが、日本ではこれからだ。再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって、このシステムによる発電事業に収益性があるようになったからだ。富士電機が100キロワット前後のものを商品化したと報じられている。富士電機は地熱発電では世界のリーディング企業だが、高温の地熱を利用するフラッシュ発電が主体だったのを、高温の温泉源の熱利用や廃熱利用分野に進出したのだ。中小出力のバイナリー発電システムは、神戸製鋼所が2011年に出力70キロワット機を投入したことで市場が立ち上がり、川崎重工業も同250キロワット、日立造船は同150キロワット、IHIが同20キロワット、塗装機器メーカーのアネスト岩田(横浜市、壷田貴弘社長)は同5・5キロワット、アルバック理工が同3〜12キロワットのシステムをこれまでに開発・販売しているということだが、日本でどの程度市場が拡大するだろうか。国外にも市場を見つけなければ競争で共倒れを起こすのではないかと心配だ。