効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

2050年までに再生可能エネルギーで100%

WWF(自然保護基金)がエネルギーの将来像に関する報告書を出した。それによると2050年までに全てのエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことは、技術的にも経済的にも可能だという。EcofisとOMAとの連携で調査分析したもの。250ページを超える論文であって、まだ全部は読んでいないが、WWFジャパンが日本語で11ページの要約版を出している。一つの問題提起になるだろう。英語版を読み切る時間が準備できるかどうか分からないが、何とか内容を把握したいと思う。これを金科玉条にするつもりはないが、一つの重要な方向を示すものだと思う。
当然のことだが、これにはいま低炭素社会実現の切り札のように言われている原子力発電は含まれていない。しかし、最低限必要な液体燃料にバイオマス由来のものを使っているが、想定しているのは社会全体が電力依存になるということだ。この分析の前提には、現在電気が使えない14億人も、その頃には全て電気を使えるようになっているという想定がある。
その施策の第一は、極力エネルギー消費を削減するように効率を上げることだ。その想定ではその施策の進展によって、2025年頃からエネルギー需要が下がり始めるという。第二は先に述べた産業、建築物、運輸を極力電化するということだ。理由は電気は再生可能エネルギーからもっとも手に入れやすいものだからだとする。第三に、熱エネルギーについては、太陽熱、地熱、ヒートポンプでまかなう。そして、バイオマスエネルギーは最後の手段とされている。
2050年までに、エネルギー効率向上や燃料節約により、正味で年間約4兆ユーロ(約500兆円)のコスト節約となるとし、初期投資は大きいが、2040年頃から利益を生むようになるとしている。中長期的に見て社会が何らかの形でメリットを得られなければ意味がない。そのメリット計算がどのような形で行われているか、よく勉強してみよう。日本のエネルギー政策を裏付ける経済計算を判断するときの目安になるだろう。このレポートはWWFジャパンのホームページからダウンロードできる。