効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

森林バイオマスはパリ協定の目的達成を阻害する

地球温暖化防止に向けた政策の執行に同意した国がパリ協定に調印しているが、その内容の一つであるバイオマスの取扱を批判する意見がEUのアドバイザーから出されたようだ。パリ協定ではバイオマス一般全体を再生可能エネルギーとして見なしている。だが、森林からの素材を燃料に使うことによって空気中の炭酸ガス量が増加してしまうという主張だ。この日記でも同じ疑問を述べたことがあるが、木質バイオマスを火力発電所の燃料に使うと、そこから排出されるCO2の量は石炭火力より多いということだ。バイオマスを再エネ扱いするのは、排出されたCO2は、伐採された樹木に代わって植え付けられた若木が生長するときに吸収するからだという見なしによってである。しかし、これへの反論としては、パリ協定が温暖化防止のために達成しようとする大気中のCO2濃度の引き下げは、今後10年〜20年という期間を想定しているのに対し、木質バイオマスを利用したときに排出されるCO2が吸収されるのには200年以上の時間がかかるために、パリ協定の目的達成を阻害するとしているのだ。ヨーロッパで森林のエネルギー利用は基本的に推進されているのだが、この協定自体を改定することは難しいので、協定を実施する各国が具体的な政策を準備するときに、木質バイオマス利用の推進を行わないようにするしかないことになる。日本の環境省はどのように対応するだろうか。