効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

英国がグリーン・ディール(Green Deal)

英国のエネルギー・気候変動省が住宅・建物のエネルギー効率を向上させるのを促進する政策を打ち出そうとしている。いわば英国版グリーンニューディール。12月9日にChris Huhne大臣がプレス発表している。
この施策は2012年から開始することになっているが、民間企業や個人、がエネルギー効率向上策を最初に一括投資をすることなく進めることができるようにしようというもの。所有であれ賃貸であれ、英国の全ての建物の快適性を高め、かかる経費を削減できるようにするためのエネルギー法が上程されている。これが実施に移されると、エネルギー効率が向上すると同時に、断熱性を高めるための事業だけでも、雇用が27,000から2015年までに100,000にまでなり、ここ10年でピークの数字としては25万になるとしている。
詳細ははっきりしないが、単に断熱工事などに補助金を出すだけでは、悪徳事業者などに消費者が食い物にされる懸念があるため、工事事業者に資格認定制度を作り、消費者保護を厳格にしながら融資などを行い、効エネルギー実現によって削減されるエネルギーコストによって融資返済ができるようにするもののようだ。この返済は電気代、ガス代の一部として支払われる。この効率向上に向けた工事には、欠陥があったりしたときに備えた保険制度も準備される。融資を受けて工事を行った人や企業が不動産を売ったときには、それを買った人が融資返済を引き継ぐ形になる。エネルギー事業者には、低所得層の人や、改善工事が難しかったり高く付くものについては、支援策を別に準備することを義務づけるともしている。自分の建物を改修しようとする人や企業に、十分な判断情報が与えられるような制度も組み込まれるようだ。
このエネルギー法には、このような建物関連だけでなく、低炭素発電への投資をやりやすくする方策、たとえば、2010年以降、洋上風力発電を接続する海底送電線の敷設推進や、新規の原子力発電に向けた投資のリスクを低くするような施策が入っている。また、エネルギー安全保障向上のために、電力供給の安定性、ガス貯蔵の促進策、あるいは、民間企業が石油やガスの上流への参画がやりやすくする施策も組み込まれている。
米国に続いて英国がグリーンに向かう。日本はどのように包括的なスキームを作り出せるだろうか。