効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

もんじゅは本当に再稼働できるか

研究開発中の高速増殖炉もんじゅ」(福井県敦賀市)の本格運転が2013年4月以降になるとの見通しになった。もんじゅは今年5月に運転を再開した。といってもフル稼動ではなく、稼動できることを確認したというレベル。ところが、8月に燃料を出し入れする重さ3トン以上の装置が落下して、下部が本体に激突して変形し、抜き出すことができなくなった。この取り出しのために、炉の上部を外さざるを得なくなったし、取り出しのために新しい設備を取り付ける必要も出たはず。変形した部分を手直ししなければならないが、この部位は高い放射能を帯びているから人間が直接作業することはできない。この作業はまだ着手されていないと理解しているが、おそらくその作業の工程もまだ明確にはなってはいないはず。その段階での本格運転の延期発表はきわめて確度が低いもので、当初の運転再開計画との整合性がとれなくなったためにそうせざるを得なくなったのだろう。
もんじゅは1991年から性能試験を開始している。ところが1995年に冷却剤である溶けたナトリウムが漏出して発火し、それからずっと今年5月まで停止していた。ということは建設されてから20年ほど経った設備なのだ。原子炉本体部分だけでなく、核反応に直接関係しない装置でも、それだけ長く経過すると、経年変化で劣化している部分が多くあるだろう。それには十分配慮した管理をしていると弁明するだろうが、人間の考えの及ばないところでトラブルが起きることは十分予想できる。大型装置の落下事故による重大な損傷を何とか修理しても、再稼働を始めた途端に制御装置の何でもない部品故障が原因でまた停止することがあるかもしれない。その時に、重要ではない部品の故障だからといって簡単に稼動を開始することを社会が許すだろうか。おそらく強い反対が出てもんじゅ自体を廃却せざるを得なくなるのではないだろうか。高速増殖炉は使った核燃料以上の核燃料を生み出すことができるのがうたい文句だが、運転の信頼性が設備全体の老朽化で落ちてしまえば、実証試験自体が無理となるのではないか。