効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

熱の計測

産業技術総合研究所が、太陽熱温水器が生み出す熱量を低コストで計量するために、新しい熱量計を開発すると報じられている。以前にもここで書いたことがあるが、電気に比べて熱の計量は、精度も耐久性も問題があるのに加えて、計測装置の値段が非常に高く付いていた。熱の価値は電気より低いことが多いから、その計量にお金をかけることは難しい。昔、集合住宅で集中的に作った温水を各戸に配る事業を始めたところが、計測器の精度が極めて悪いし故障が多発して料金を貰えないような状態になったことがある。基本的に熱の計量は難しいといわれていたのだが、太陽熱の普及促進に向けて再生可能エネルギーの価値を取引する「グリーン熱証書」の採用が検討されている課程で、データを取る積算熱量計が5〜10万円と高価である上に、耐用年数が8年で、温水器よりも早く交換時期が来ることが課題だったとのこと。熱計量はやはり今でも難しかったのだ。産総研では、精度を抑えることで価格を2万円程度に引き下げ、耐用年数も15年程度に延ばすなど、太陽熱温水器に適した熱量計の開発をする方向に向かっている。開発中のものは誤差が8〜10%と、従来のものの5%に比べて大きいが、価格は2万円程度で、量産によってさらに低減できるという。
太陽熱の利用は温水という形でするのがもっともコストが安く、エネルギー効率は高い。しかし、熱自体の評価は電気に比べて低いから、今回のようにコストを安く計測できるようになれば、グリーン熱証書制度の実施にも具体性が出てくる。すでに東京都がグリーン熱証書制度を実施しているはずで、ここでも計測コストの高さが問題になっていた。産総研の熱計測器が広く入手できるようになれば、国だけでなく地方自治体レベルでも太陽熱給湯器の利用にグリーン熱証書を使うようになるだろう。そうなれば補助金を準備する必要もなくなるはず。誤差が大きいために法定の計量器には該当しないそうなので、熱証書の取引に使えるような法整備も必要だろう。