今日午後から、国際直流会議に参加した。世界的に直流の利用を推進するために、まだ定まっていない電圧やコネクターなどの標準規格を検討しているグループが開催したものだ。低圧部分についてはEmergeという連合体が行っている。
いま家庭用の電気機器は全部交流100ボルトないしは200ボルト、業務用などは400ボルトなどに接続されている。しかし、パソコンの場合、入口で直流に変換され、中では全て直流で駆動されている。冷蔵庫や空調機の場合にも、交流が直流に変換された後、周波数可変の交流に変換されて、交流モーターの回転数を制御し、負荷の大小に応じて周波数を上げたり下げたりしている。昔のように、オンオフを繰り返すのではないために、温度管理も円滑になる。入口の所で直流に変換するところで、電力は一部熱となってロスとなる。もし最初から直流で使えるなら、少なくともこの変換ロスは防ぐことができる。
この問題がエネルギー効率の向上、あるいは電力コストの引き下げの観点から大きく取り上げられたのは、情報処理の要であるコンピュータが集合しているデータセンターである。サーバーは24時間作動し、一瞬の停止も許されない。そのため、無停電電源装置を備えているが、これは蓄電池を備えて直流で作動する。だからまず交流を直流に変換して電池に接続し、停電が起きても蓄電池から供給できるようにする。停電が長くなれば非常用発電機も使うはず。そして、その直流を再度交流に直してサーバーに供給する。サーバーであるコンピュータは、入力電力が交流となっているからだ。その変換時に電力が熱となって失われる。これをサーバーが内部で使っている直流電圧で直接供給できれば、2つもの変換装置を省くことができる。サーバー業界でエネルギーの効率化に向けて世界的にこの直流システムの開発が進んでいるのだ。問題は世界的に標準化が合意されていないことだ。議論を聞いて関連知識を得られるのは有り難いことだ。