効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

直流化を再度

昨日に続いて直流の話。2日間にわたる直流に関するカンファレンスに参加し、一番最後のスピーカーとしても英語で話をさせられた。ずっと座って話を聞くのはお尻が痛くなるが、25分刻みで登場するスピーカーの話が面白いために、時間はあっという間に過ぎていく。直流化はこれから数十年にわたって繰り広げられる社会的な変革の一つであるかもしれないという印象を持った。ただ、交流電力であることが当たり前の世界に直流を導入することは、データセンターのように導入メリットが数字で出てくる世界は別にして、住宅レベル、ビルレベルで採用して貰うためには、そのメリットが納得性のあるものとして示されなければ実現するのに時間がかかるだろう。時間がかかるというのは、エネルギー効率を高めるのには直流化が必然であることが、今回の会議に参加して納得できたからだ。
問題は、建物レベルで直流を供給するときの電圧が何ボルトであるかについても、甲論乙駁ですぐには決まりそうにない。いま世界で使われている交流についても、日本が100ボルトであるのに対し、英国では240ボルト。欧州大陸は220ボルト、米国は110ボルトなど標準化ができていない。日本のように国の中で50ヘルツと60ヘルツがあるのは異例だが、米国は60ヘルツ、欧州は50ヘルツ。欧州の植民地だった国はほとんど50ヘルツ。歴史を辿ると面白いだろう。しかし、これから必然となる直流世界にこのような差違があってはいけない。建物内に供給する直流電圧をどれだけの高さにするかを早く標準化しないと、家電メーカーも直流化に向けて動けない。この点については、台湾から来たスピーカーから、台湾の家電メーカーが直流化に向けて動き始めていると聞いて少なからず危機感を持った。直流化について日本の電力業界は横を向いているから、大手の電機メーカーはその意向に背くようなことはできない。しかし、世界の動きを見ていると、日本の電機メーカーは台湾、韓国、中国の家電メーカーに直流化された商品の開発に遅れをとるのではないかと心配だ。直流に転換するとエネルギー効率は確実に上がるのだから、日本政府も音頭をとって優遇政策をとっても良いと思う。