効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

風力発電に使う風が弱まる?

米国の雑誌によると、再生可能エネルギー情報サービスのプロバイダーである3TIERがこの7月に出した風況マップで確証したが、今年の初め頃発電量が思うように大きくならなかった発電事業者多かったそうだ。その理由は、長引くエルニーニョ北大西洋の振動が相まって、2009年秋から2010年春にかけて風速が大きく落ちたためであるという。2010年の第2四半期に入ると、西部を中心に風は回復しているようだが、全米で見ると、今年の1月から6月まで、平均以下の風速しか得られていない。
今日の日経新聞でも、この数十年、地上を吹く風の勢いがジワジワと弱まっていることが、関心を呼んでいる、という記事が出ている。地球温暖化に伴い大気の対流パターンが変わったことや、地上の樹木など植生の変化が影響しているとみられるが、はっきりした原因は不明。このままのペースで風が弱まると、風力発電がやりにくくなると心配されている。ということだ。 フランスと英国の共同研究グループが、北半球約1万カ所の観測データのうち信頼性の高い約800カ所で、1979年から2008年までの30年間にわたる風速の変化を計算した結果、全体の73%の観測点で風速が遅くなっており、その大半で5〜15%減少していた。風の勢いが平均的に弱まるというよりは、強い風が吹く頻度が少なくなる傾向が見られるという。17日発行の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に発表された。その理由として考えられる一つは、植生の変化で地球表面の凹凸が増えたために風の勢いが減殺されるということ。もう一つは、地球温暖化によって気圧と温度の分布が変化することで、風の吹き方が変わり、一般には、温暖化は北極など高緯度の地域がより進むため、低緯度と高緯度地域の温度差は小さくなる。このため風の勢いも弱くなるという。研究グループは、今回調べた北半球の風速低下に関しては、植生の変化の影響の方が、気候変動より大きいとみている。ただ、このグループの対象とするのは地表付近の風速だから、大型の風力発電設備風を使う地上50〜100メートル付近についての知見はない。
米国の情報では気候変動の影響が大きそうだが、風況が大きく悪化するとすれば、今後の風力発電事業にとって無視できない要因となるかもしれない。