効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

スターリングエンジン

昨日訪れた大阪ガスの事業用ガス設備に一つ、注目したものがあった。それはスターリングエンジンを使って工業用炉などの排熱を利用して発電するスターリングエンジンを使った熱利用システムだった。これまでガス事業者はスターリングエンジンにほとんど関心を示していなかった。それはガスを燃焼させて発電するシステムとして考えると、理論値は別にして、実用的な発電効率がガスエンジン発電機や燃料電池に比べてはるかに低かったからだ。しかし、展示してあったものは、モニターを募集するための展示で、商品化に本腰を入れだしたのかなと思えた。
スターリングエンジンは外部から加熱して、ピストンとシリンダーの間のガス圧の差を使ってピストンを動かす外燃エンジンで、そのピストンの動きを外に取り出してクランクを回す方式と、ピストンを中に閉じこめて、その動きで発電させるフリーピストン型がある。展示してあるのは前者のタイプ。このタイプは、外部に力を取り出す軸の周辺から内部の高圧ガス(このシステムではヘリウム)が漏れやすいので、そのシールが問題となる。これはヘリウムの補充で解決しているのだろう。発電出力は300ワット。これを大きいと見るか小さいと見るかだが、これまで捨てていた熱を利用できるとすれば、使い道はある。ただそれにはスターリングエンジンの値段が決めてとなる。エンジン自体の構造は内燃エンジンに比べると簡単だから、量産ができれば値段は急速に下がるはずだが、まだ大量に売れるものにはなっていない。
米国では砂漠に集光装置で集熱部の温度を上げ、発電するスターリングエンジンが数千台設置されたものが稼働している。欧州では家庭用の貯め湯沸かし型ガスボイラーに取り付けて、ボイラーの温度を上げるときの熱でスターリングエンジンを作動させるものが開発され、商品化一歩手前と聞いている。加えられる熱の価格評価をゼロにできれば、実用的な商品として成り立つ可能性はあるだろう。大阪の万博公園には、バイオマスボイラーの熱を使って1kWの発電する実証試験をしているNPOがある。最初ドイツのものを入れていたが、いまは国産のスターリングエンジン発電機を装着しているはずだ。
もし大阪ガススターリングエンジンを比較的排熱温度が高い工業炉にこれを導入したいと本気に考えているとすれば、新しい方向だろう。