効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

レアアース

レアアースの生産で中国は95%を超える圧倒的なシェアーを持っている。レアアースはいろいろなハイテク製品に不可欠だ。特に、これから普及しようとしている電気自動車やプラグインハイブリッド自動車に使われる小型で高出力を出せる電気モーターの磁石に不可欠だ。この独占的地位を中国が臆面もなく利用して、日本にまず輸出を禁止して恫喝し、ついで欧米に対しても輸出を大幅に減らそうとしている。その理由は採掘現場の労働環境が悪くなっているからだという。その側面もあるかもしれないが、明らかにそれを利用して政治的に有利な条件を欧米や日本から引き出そうとしているのだと思う。
最近高性能電気モーターに使うレアアースの量を大幅に引き下げることができる技術を日本が開発したと知って、ロッキーマウンテン研究所を率いるエイモリー・ロビンスに知らせてやったら、レアアースを使わずに電気自動車用モーターを作ることはできるよという返事を貰ってへーっと思っていた。そのへーっが少し解消する情報を入手した。レアアースは永久磁石の性能向上に必要なのだが、昔からある誘導モーターとSRMというモーターはレアアースを使わなくても良いのだそうだ。ただこれまでは制御に問題があり、性能を出せなかったのが、最近の制御技術の向上で、電気自動車に使えるほどの性能を確保できるようになったという。この方式のモーターは、いま日本にも輸入されようとしている米国のテスラが使っている。日本のメーカーはほぼ全てが永久磁石を使っているために中国からの輸入が止まると問題だが、テスラは問題にしていないはず。
一方、レアアース資源自体は中国だけでなく、米国その他、昔生産していた国がある。中国の圧力を受けて、米国がレアアースの生産を再開する方向に向かっている。競争市場というのはこういうものだ。ただ生産を再開するには時間が必要だろう。どの位時間がかかるかによってリスクが変わるが、中国脅威を知った諸国は中国以外からレアアースを入手しようとし、中国が輸出制限を解除しても輸出量は元に戻らないだろう。中国の戦略はレアアースだけでなく、他の戦略商品に対する中国依存を再検討する方向に諸国を向かわせることになったのではなかろうか。