効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本のスマートメーター

報道によると、経済産業省スマートメーター(次世代電力量計)に求める双方向通信機能を、今後10年程度は遠隔検針や計測データの収集・発信などに絞り込むことが適当との考え方を示した。電気の需要家に電力消費量を通信で知らせて自動的に空調機などの電気機器の稼動を制御するという高度のスマートグリッド機能は持たせないと言うことだ。需要家にはおそらく個別にウエブなどで電気の消費状況が分かるようにするだろうが、どれほどの時間間隔で測定するかによっては、非常にラフな情報しか得られないことになる。
記事を読むと、日本でスマートメーターに期待されているのは、太陽光発電の制御にあるようで、まだ系統に大きな負担となるほど普及していないという現実を踏まえてのことだという。しかし、電気の消費抑制は、太陽電池の普及以上に地球環境対応としても重要なものだ。消費抑制に本格的取り組みをするのが10年先でよいのだろうか。
この記事には電気自動車の普及とスマートメーターの関係については触れられていなかった。この様子で行けば、スマートメーターは自動検針機能だけのものになり、極端に言えば一ヶ月毎の電力消費の記録機能だけに当面留めてもよいことになる。そして、消費抑制の必要が出たときにその新機能を追加するのだろうか。メーターを見る検針員が不必要になる、引っ越しなどの時に手続きが簡単になる、などの事務改善にはつながるが、これは単なる経営合理化策だけであって、政府としてどのように将来のエネルギー消費を抑制するかの大きな課題には全く関係ないものだ。太陽光発電導入強化だけで地球温暖化対応やエネルギー自給率の向上は無理だし、原子力発電を国産エネルギーだとごり押しをしたとしても、原発自体の建設ができなければどうするのだろうか。いまからエネルギー全体の使用をどうするか政策として打ち出す必要があると思うが。
米国ではスマートメーターを系統の安定性確保に使おうとしていないという報告書も出ているようだ。だが、欧米では風力発電による系統の不安定化防止が先に来るから、スマートメーターよりも送電系統自体の制御が中心となる。日本国民に誤った認識を与えることになると思う。日本の電力会社はスマートメーター自体もやりたくないのが本音だろう。