効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■エコキュートと再エネ

 日本冷凍空調工業会とヒートポンプ・蓄熱センターが昨年の7月に発表したものだが、家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート」が同年6月末現在で累計出荷台数が600万台を突破(約601万9千台)したというデータがある。これまでの経過を見ると、最近では年に40万台ほどの増加をしているから、今頃は650万台近くになっているだろう。このユニット一台の電力消費は1kWほどだから、全国で一斉にスイッチが入るとすれば650万キロワットの電力が消費されることになる。

 一方、スマートメーターの設置は順調に進んでいるようだから、2021年頃にはほぼ全部の消費先に取り付けられているだろう。このスマートメーターを通じて系統から需要先の電気機器の制御ができる基本システムが構築されることになる。これまでに取り付けられている電気機器はスマートメーターからの制御信号を受けるようには殆どなっていないが、必要な設備にスマートメーターの信号を受信できる制御装置を新たに取り付ければ、設備のオンオフなどが出来ることになる。これにはコストがかかるが、必要性との兼ね合いで取り付けるかどうかが決まるだろう。

 いま太陽光発電などの出力が増大して、九州では快晴の時などにはその出力を抑制せざるを得ない状況になっていて、いずれは他の地域でも同じ状況が生まれるようになることは確実。折角の再エネを使えないことになるのだが、その抑制で生まれるエネルギー価値の損失が大きくなれば、多少のコストをかけても電力消費を一時的に増加させることによって、再エネの抑制レベルを下げる方向に向かうだろう。

 その時に、もともと安い深夜電力を利用するエコキュートを、一時的に再エネが余る時間帯に一斉稼働させれば(その時の電気料金は大きく下げるようにして消費者の協力を得やすくする)、九州でも数十万キロワットの電力需要が生まれ、再エネ電力の余剰発生量を抑えることができる。この実施には制御機器への投資が必要だが、いずれしなければならなくなることも確実。スイスなどでは、電気温水器には制御機器を取り付けることが義務づけられているように、何らかの強制も必要となる。エコキュートだけでなく、空調機など他のものにも同じことが言える。このような方向に向けた具体策が、来年くらいから検討されるのではないかと思っている。

 

 ソーラー充電利用の懐中電灯、ラジオ