効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

生物多様性

名古屋市で、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されている。COPとはConference of the Partiesのことで、国際条約締約国会議のこと。この会議は目標に向けた合意を得るのがなかなか難しいようだ。
これに関連する面白い記事が日経コンストラクションにあるのを見つけた。北海道の釧路川が蛇行していたのを、氾濫しやすいのを防ぐのと、農地を作り出すために1984年に直線化したのだ。ところが、その結果湿原が失われたり、生態系が乱されるということになったのを元に戻すのだ。生物多様性について昔はほとんど留意されなかったのが、その重要性が認識されるようになったことを具体的に示しているのだろう。そのためにかかる費用は約9億円。2010年2月に蛇行する昔の川筋に水を流すようにし、今年度中には直線部の埋め戻しを終了するという。
これまでの北海道でとられた政策は農地開拓が中心だった。湿原は水位が高いので、屈曲河川の氾濫をしにくくして農地を作り出したのだが、河川の直線化や森林の伐採などは釧路湿原に急激な変化をもたらし、1947年に約250km2あった湿原面積は、96年には約190km2まで減少している。氾濫とともに周囲に堆積していた土砂が、湿原に流入し始めた。地下水位が低下し乾燥化したことで、湿地を好むヨシが減少し、乾燥した場所に生息するハンノキ林が急増。結果として、湿原の量は減り、生態系も変質した。それを元に生態系に戻そうとするもので、 生態系の変質を危惧し、保全策などを検討してきた「釧路湿原自然再生協議会」で了承された事業の一つだ。
人間の無知と欲望がもたらした結果が、人間にしっぺ返しをするということをよくわきまえておく必要があるということだ。