効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

海運のエネルギー効率化

国際的な海運事業は、世界を船が動き回るので、温暖化ガス排出管理についても横に置かれていた。しかし、いつまでもその例外が認められるはずはない。外洋船舶が排出する二酸化炭素の量は大きいからだ。世界の排出量の3%にあたるそうだ。これはドイツ一国分。そこで船の推進時の抵抗を下げるような船形にしたり、太陽電池をデッキに貼り付けたり、エンジンの効率を上げたり、ここでも紹介したような試みがいろいろなされている。
これについて、天候を配慮して最適な道筋を選ぶだけで国際海運が排出する二酸化炭素(CO2)は約2.5%減らせることがわかったと報じられている。気象情報サービスのウェザーニューズが国内外の海運5社と協力して計算した。これから規制が始まる国際海運のCO2減らしに役立つという。天候の予測を精密にして、航路をもっとも円滑に航行できるように変更することによって、燃料消費を大きく引き下げることができることが分かったのだ。普通に考えれば、最短距離を走るのが良いのだが、海流の影響、風、波など船の動きを妨げる要因は多い。飛行機などでも、偏西風が通常より強いときには米国からの飛行機の日本到着が遅れることがあるのと同じことだ。
天候予測を精密にするのは、風力発電の出力予想を正確にするのにも重要な要素として、米国では大きな費用をかけて研究されている。これが海運事業にも密接な関係があるのはいわれてみれば当たり前のことだが、気がつかなかった。このような当たり前の要因がエネルギー効率を左右するのは、単に気がつかないだけの話しだろうが、同様の事例は多いかもしれない。操船というのは船長がいろいろな情報を総合して、それに勘と経験に基づいて航路を決めているはず。それに科学的に分析された天候予測が加わってくるとすれば、船長の裁量できる部分が少なくなっていくだろう。船長にとっては面白くない話しかもしれない。