効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

鉄道事業でも中国の覇権戦略

この間、中国が電力を中心とするエネルギー供給で中核的役割を果たそうとしていると書いた。最近の報道を見ると、鉄道輸送についても周辺諸国との接続を自国主導で行って、覇権を得ようとしているように見える。東南アジア諸国連合ASEAN)が推進する広域鉄道ネットワークの整備計画で、中国が攻勢を強めている。中国はASEANとは別に独自の路線案の検討を始め、鉄道軌道の統一も提案。産業物流の中核となるインフラの整備で主導権を握り、域内への影響力を強める狙いがある。現在中国との陸路を使った物流はトラックが主体。これを中国の主導で鉄道輸送に切り替えようとしている。それには中国の鉄道が使っている広軌仕様のレール幅に、周辺諸国が主に使っている狭軌から変えさせるのがもっとも効果的。
これは大変な作業になるが、日本ではその経験がある。近鉄電車は昔大阪から名古屋まで一本の電車では行けなかった。名古屋側が狭軌だったから途中で乗り換えなければならなかったのだ。これをジェーン台風で名古屋側の路線がめちゃくちゃになったときに、当時の社長佐伯さんが一大決断をして広軌に切り替える工事を行ったのだ。修復費用に少し上乗せすれば広軌にできるという発想は素晴らしいものだ。日本のJRの従来路線もアジア諸国が採用している植民地仕様の狭軌(1000ミリ)だ。新幹線については、広軌狭軌の両方が使える車両も開発されている。ともかく軌道幅の統一は大変な作業になる。
それを中国側からいろいろ魅力的な条件を提示して、周辺諸国広軌を採用させることに成功すれば、その建設、信号制御など多面的な事業に大きな支配力をもつことになるし、アジアの物流を手中に収めることになるだろう。中国の長期的戦略はおそるべきものだ。日本にそのような政治力を期待するのは無理だろう。