効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

メキシコ湾に波力発電

米国陸軍省が今年の初めに、メキシコ湾に商用規模の波力発電を実証するプロジェクトを支援することを決めた。この波力発電機はSEADOG(あざらし)という名が付けられていて、波に揺れるブイでピストンを動かし、水を押し上げてその落差で発電するようになっているそうだ。大きなシリンダーの中に空気袋でできたブイがあって、ブイは波の動きによって上下する。その上下動をシリンダーの中にあるピストンで伝え、水を出したり入れたりする。1マイル沖合に50メートルX25メートルのプラットフォームが設置され、そこに直径7フィート(約2メートル)の波力ポンプが18個取り付けられる。ポンプは水面から7メートル下辺りにあり、水を発電機につながった水車に送るようになっていて、約60キロワットの発電をする。この内4キロワットは浸透膜による海水の淡水化に使われる。このプロジェクトを担当するINRIは2007年にプロトタイプを設置している。今年中にはさらに大きなプラットフォームを作る予定である。
世界中で波力発電なり潮力発電なりが開発されつつあるが、米国はこの分野で後れをとっているといわれている。しかし、オレゴン州カリフォルニア州の沿岸部で実験が行われているとも報じられている。問題は設備コストに比較して発電出力が小さいために、現時点ではどうしても補助施策がなければ経済性が出ないということだ。ポルトガルでは補助金が打ち切られて頓挫しているプロジェクトもあるそうだ。
海に囲まれた日本でこのような規模の波力発電が実証されているという話しはあまり聞かない。この間、潮力を使ってマグロの形をしてー便で発電する実証計画をここで紹介したが、もっといろいろな試みがなされても良いはず。再生可能エネルギーの利用について海の利用が日本のお得意技術に育てば、引く手あまたになると思うのだが。
ところでメキシコ湾といえば、油田からの原油漏れ事故はどうなったのだろうか。Wikipediaによれば9月19日にパイプにセメントが詰められて完全に閉止されたとある。